雨 ときどき晴れ☀

~鬱と発達障害とつきあう日々~

コーヒー友達?☕

 

 ーおいしいコーヒーでも飲みに行こうよ、と誘われた。

 断ろうと思った。きっと二人きりなんだろう。

 

 ーあ、でも初めて行く喫茶店なんだ、いい?

 ん?初めて? ちょっと考えた。

初めてということは、その人もその店に慣れてないってことだ。余裕綽綽、訳知り顔で店に連れて行くわけじゃないんだ、おもしろいかも!

 私の変な好奇心がGOサインを出した。

 ーOK! その人はニッと笑った。

 

 連れて行ってくれたのは、入ったことはないが、私も、その前を通ったことがある店。

 ーね、ここ、どんな店なんだろうね。 -うん。

 

 入ってみると、鳥越俊太郎に似たマスターらしき人と、その奥さんらしき人が出迎えてくれた。ほとんどがカウンター席。

 奥の、唯一あったテーブル席に座った。まだそんなに親しくない、この人との会話をマスターたちになんとなく聞かれたくなかった。

 その人はナポリタン、私は、ケーキセットを頼んだ。

 ナポリタン・・。度胸あるなぁ、と感心した。私だったら口のまわりについて、恥ずかしくて食べられない。こんな時。

 

 ーね、rさん、仕事やめちゃうんだって?  

 どこから話を聞いたんだろう。だいたい想像つくけど。転職はするつもりだけど、今のところも続けられたら続ける、と言った。 ーふーん。

 それから、いろいろ話した。私もテンパって頑張って話したせいもあるが、その人はけっこう話し上手、聞き上手だった。会話が楽しいと思えたのは、私にとって珍しいことだった。

 ーね、今度映画行かない? rさんが観たいのでいいから。

 ー・・あのさ、友達としてなら、いいよ。 

・・誤解されないようにハッキリ言っておかなければならない。するとパッと明るい顔になって、

 ーもちろん!いいよ!やった。  

 なぜかガッツポーズ。そのまま私に拳を突き出す。私もおずおずとグーを出してあくしゅ。なんじゃこりゃ・・変な感じ! でも悪い気はしない。あらたまって男友達って初めてかも。もしかして、あっちの人? いろんな考えがかけめぐる。

 その後も会話は続いた。合わせてくれたのかもしれなが、気が合った。

 

 ところで、鳥越マスターに聞いてみた。

 ーこれ、何の豆を使ってるんですか?

 コーヒーのことである。そんなに苦くもなく、ほどよいバランスの、飲みやすいコーヒーだった。

 でも、4種類の豆なんだよねーと言って、詳しくは教えてくれなかった。ケーキも美味しかったが、手作りなのかははっきり教えてくれなかった。わたしたちの他に客はなく、謎の多い店だった。

 

 店を出ると 

 ーまたどこか飲み食いに行こうね。楽しかった。

とその人は笑った。  

 ま、友達だから、いいか。

 つい、つられて笑ってしまった。

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