何年か、ぶりに主人とそういうことがあった。
正確に言うと、少し前にもあったのだが、私が泣いてしまったのでやめになったのだ。泣くまいとするのに、涙が出てしまった。
そういうことか過去にも何回かあった。
そのたびに、謝った。
主人とは、もう家族だ。家族(近親者)とすることは、私には抵抗がある。
無理やりされれば、トラウマを思い出す。
それに、悪いことに、トラウマのあったころ、膨らんできた胸を、父親にふざけて揉まれたことがあった。父が酔っていた時のことだ。一瞬、父を殺すか、自分が死にたいと思うほど嫌だった。
近親者との嫌悪感は、そういうことがあって余計強くなった。
でも、今回は、主人が最後までことを運んだ。私も応えた。相手に悪いと思ったから。しかし終わってから主人はこう言った。
・・・なんだよ、なんか俺レイプしてるみたいじゃん・・。
・・・そんなことないでしょ。。 ・・いいながら、その言葉にギクっとする。
・・・だって、体が逃げてんじゃん。泣いてるし。俺お前のこと無理矢理てか、いじめてるみたいじゃんか・・。
・・・泣いてないってば。 無理に笑顔を作ろうとする。
昔そういうことがあったなんて言えない。知られたくない。家庭が壊れる気がする。
そんなことないってわかってても、なかったことに、したいのだ。できれば普通にしていたいのだ。
主人とはできればしたくない。こんな思いを。でも、普通に応えなきゃいけないんだろう・・。
主人だから言えないことがある。
許してほしい。
数日後、シャワー室で、昔の上司を思って、自分で慰めた。一度だけ抱かれた時のことを思い出す。
ずるいと思うけど、その人を想って、時々こうしたくてたまらなくなる。
夢みたいな時間だった。
怖がってた私を、やさしく解き放ってくれた。
二度目は、激しく愛してくれた。男ってこうなんだなって圧倒された。
でも、幸せだった。
高い所に行きながら、私はやっぱり泣いてしまう。でも、悲しい涙じゃない。
ああ、生きてるって思う。
思い出をくれたその人に感謝している。
私の中で、あの日のまま、永遠に。
あの人がいない代償に、綺麗な思い出だけが残っている。