このところ、無理をしなければ、体の調子がいい。
うつがひどいと、起き上がることもしんどくなるけれど、最近は、寝不足でなければ大丈夫。
明日どうなるかはわからないが、調子が悪い時には、栄養剤を飲んで、ひたすら休む。体に少しずつ充電されるのを待つ感じ。
仕事の時と、家事をしなければいけない時が一番つらいが、なんとかやりすごして、頑張るしかない。
調子がいい時は、逆に体を持て余すこともある。自分でも、いい時と悪い時の差の大きさに困惑してしまう。
時間がないのに、そんな風になってしまった時は、少し泣きたくなる。我慢して、やっと一人の時間が持てたら、ゆっくり自分をいたわる。バカだなぁと思うけど、そうして思いが満たされた瞬間、「ああ、生きてる」って感じる。
そんな時、昔好きだった人を思い出すことがある。
調理師をしていた時の、店のトップの人。
その人に憧れて、履歴書と手紙を出したら、運よく採用された。
店はバブル崩壊後の経営難で、私が採用される直前に、何人かの従業員の首を切らなけらばならなかったらしい。つらかったと思う。
こうして、一生懸命その人について、働いた。毎日、大変だけど、感動と勉強の日々でもあった。
でも、もともと体の弱かった私は、何人分もの過酷な労働に体を壊してしまった。
経営の方は、黒字に転換していたので、店やその人のためにこのまま働きたいと思った。でも、それから数年後、仕事か結婚かを考えるようになった時に、結局店をやめることにした。
その後もその人のことは、ずっと忘れなかった。お互いパートナーがいたから、成就することはなかったし、私の片思いというか、尊敬する人だった。
器が大きくて、いつも私をほめてくれた。素人だった私をよく使って、育ててくれたと思う。従業員のアイディアは何でも採用してくれる人だった。そして、自分には厳しい人だった。
私が、店をやめてから、2年後、その人は病気で亡くなってしまった。青天の霹靂だった。もう10年になる。 亡くなってすぐは、私はただ茫然としていた。
いろいろな後悔もあった。 でももういい。
遠い所に行ってしまった人だけど、今でも、その人の優しさが思い出される。
「おい、r、元気か。今日のランチ何だ?」という声をいつまでも覚えている。
ずっと心の中に生き続ける人。その人に教わったことを忘れずに生きていたい。
今も「おい、元気か?」とどこかで聞いてくれているような気がする。