「お母さん・・。実は僕は田中家の人間じゃないんだ。
だから、もうそろそろ土星に帰らなきゃいけないんだ」
・・なんの余興だ?でも乗っかってみる。
「そうなんだ、さみしいよ?だったら、お土産をたくさん持たせなきゃいけないね」
厳しい冬も終わり、穏やかな季節がやって来た。体がほどけるように、一日中眠い。
仕事柄、居眠りは命とりなので、まめに睡眠を取る日々が続く。
冬は、自分のうつが重くなる季節だ。でも調子がいいので、春になったのを期に、この陽気に便乗して、精神科の薬をやめてもいいのではないか、と思った。
薬を減らしたり、やめたりして、過去に失敗を何度もしている。私はつくづくバカだなぁ、と思う。慣れてくると薬の恩恵を忘れ、あたかも自分のありのままの力で生きているような気がしてくるのだ。
薬を少しずつやめていき、完全にやめて、しばらくは何ともなく、薬なしでも大丈夫かな?と思い始めた頃。
ある日、すべてのことが怖くなった。人が怖い、仕事の誤配が怖い、家事が怖い、時間の経過が怖い。
すべてが自分の敵で、何一つ思い通りにいかないと思う。怖い。
外に出かけて気分転換したり、家事を始めて熱中してしまえば、なんとか大丈夫になるのだが、久しぶりのこの感覚にパニックになってしまった。苦しくて苦しくて生きていない方がましだと思った。
そんな時、二男が事情を知ってか知らずか、私の寝ているところに来て、そんな冗談を言った。(仕事柄、いつも私の方が先に寝ている)ニコニコ笑っている。言っておくが、立派な中学生である。
私もしばし苦笑いをして、どうしたものか、と思ったが、
「いやっ、お母さん、冗談だよ。今日はエイプリルフールだからね」
と言いながら、ふぉっふぉっと去っていった。
それだけ言うために、起こしたのかーい!明日2時起きだぞー。
私は二男の天然ぶりに困惑しながらも、回らない頭で、漠然と「病院行こう、ちゃんとお薬のんで、元気になろう」と思っていた。
まだまだ、子供に負けないようがんばらなきゃいけない、となんとなく感じる。
そんな二男が作ってくれた、塩やきそば。↓
先日は、カレイの煮つけを作ってくれた。(私が教えながら、だけど)
教えるのもしんどい時があるが、子供のやる気があるうちに、教えておきたいという気持ちもある。
男の子でも、厨房にどんどん入ってきてほしい。切実な願いである。
昨日から、残っていた薬を再び飲み始めた。間を空けると、効き目があるまで2週間かかるというが、「飲んだ」という暗示にかかっているのか、ぐっすり眠れたせいか、やはり気分がぜんぜん違うような気がする。
早く状態が安定すればいいな、と思う。