久しぶりに、そう、年単位ぶりにトンカツを揚げた。
豚ロース肉の厚切りを、安かったから買ってみたものの、うつのせいかトンカツを作る手順がどうしても踏めなくて冷凍しておいたのだが、ふとある日、季節が良いせいか、調子が上向きで、心に余裕があって出来るような気がした。
とりあえずお肉を解凍する。
一つ一つずつでいい、バットを並べ、材料を用意する。あ、パン粉がなかった。夜遅かったが近所の薬局に売っていたはず、買いに行く。やる気が失せ
ないうちに早く。
お肉は5枚。上側に切れ目をいれ、塩こしょうをふる。塩は心持ち多めに。
小麦粉を薄く付け、溶き卵と牛乳をまぜたものにくぐらせる。買ってきたパン粉をきゅ、きゅ、とつけ、案外簡単にできた、できたじゃない。
あとは揚げるだけ・・ここまでできた嬉しさは、普通の感覚ではわからないだろう。
とりあえず、長男はソースをかけ、ハフハフ無言で食べていた。
昨日も調子が良く、カレーを作ったのを思い出し、「カツカレーにする?」というと、二男が「そうする」というので残りのカレーをかけて出した。
家はお肉好き男子だらけ。トンカツも唐揚げも、たまには手作りで出そうと思う。
油の後処理が大変だが、作れたことは自信になった。それも、「料理が楽しい」という感覚が少し戻ってきたのが、本当に嬉しかった。
昨夜は、山形名物の芋煮を作った。洗いさといも、こんにゃく、ねぎ、牛肉を入れ、少し甘みのある醤油味。土付きさといもの方が、だんぜん美味しいのだが、手抜きさせてもらった。具沢山の、秋の味は美味しかった。
すべてうたかた。その思いは変わらない。
だから、頑張ったことも消えていく。でも、少しはあがいて人生を良くすること。
他人から見てだめだと思われても。そんな自分に絶望しても。