時々、「ブラックなんじゃないの?」と言われることもある。
確かに、少しハードな会社なんじゃないかな?と思うことがある。
うちの会社は、給食やお弁当を作って企業や幼稚園などに配達している会社である。
私なんかは、パート配達員で短時間労働だからいいが、それでもその時間内はいっぱいいっぱいで、冬でも汗だくで走り通しのこともある。取引先も増えているから、業績は上がってはいるのだと思う。
大変なのは、少人数の事務員さん・・・。こちらは増員する予定はないらしく、私が尊敬するIさんなどは、朝早くから、夜7時まで、休日があるのかわからないほど、フルで働いている。昼も電話応対などで、ほとんど休んではいない。事務員さんといえど、30年勤務のベテランで、会社のことは何でもわかっており、Iさんがいなければ、会社は成り立たないだろうと思う。
Iさんは、いつも正しくて、公平で、従業員を叱る時は叱り、褒めるときは褒め(あまりないけど)ちょっとの時間の中での雑談は面白く、話し上手で、女性として尊敬できる心遣いの人である。
万人に好かれているとは言い切れないが、間違いなくこの人が会社の中心で、この人が懸命に働いているからこそ、周りも引っぱられ、まとまっているのだと思う。
うちの社員さんの多くは、朝早くから出社し、調理、盛り付け、配達を朝食・昼食・夕食分こなす。洗浄は、他にパートさんがいるけれど、その他は白衣を着たと思えば、着替えて配達もする、ハードな仕事ぶりである。特に調理や盛り付けなどは、私も昔経験があるので、どんなに大変かはよくわかる。
それでも、毎日毎日、栄養士さんとともにすさまじい量の調理・盛り付けをこなし、私のような配達員が会社に着くと、たとえギリギリでもちゃんと作り終える。すばらしいチームワークである。
誰かが病気やケガで欠けたとしても、いつの間にか穴を埋めている。こういうところを、密かにすごいと思っている。
そんなハードな労働にもかかわらず、会えばみんなニコニコあいさつしてくれるし、憎まれ口をたたいたり、冗談で笑わせてくれたりする。おばさまたちは優しいし、おじさまがたも、面白い。兄さん姉さんもしっかり者で頼りになる。
自然、私のような配送パートも、
「そんな皆さんが一生懸命注文を取り、一生懸命作った給食やお弁当を、無事お客様に届けてみせやしょう!✊」
と、一肌脱ぎたくなるわけで。
しかし!
今日などは、せっかく早めに配達に出発したのに、私は持って行くものをミスして、会社に戻るはめになった。ずいぶん時間をロスしてしまい、間違って持って行ったものを、待っている他の配達員さんにも、迷惑をかけてしまった。
配達は一人でしなければならない。時間に遅れたら、先方に謝るのは自分だ。なるべく事務員さんには謝らせたくない。雪の中、なるべくスピードを落とさず、車を走らせ、降りたら自分が商品を持って走って届ける。転ばず、スリップせず、を祈ったが、2度ほどスリップし、汗が出た。気をつけねばならない。
配達は一人だ。だから、チームワークの苦手な自分には合っている。でも、何かあったら一人で責任を負わなければならない。
・・そう思いがちであった。
でも、途中で、何度か事務所から無線が入った。
「田中さん、大丈夫?〇〇幼稚園さんのところ。今日、遅れたでしょ」
幸い、幼稚園には間に合った。
「大丈夫でした!」「お疲れさまです」
「田中さん、〇〇商事のところは?間に合った?」
3分遅れた。でもギリギリセーフだったと思う。
「はい、今終わりました!」「あ、ごくろうさまー」
事務所でも、ちゃんとわかっていて、心配してくれていたのだ。そりゃあ、お得意様に契約切られたら、死活問題だもん。心配はするだろうけど。。
でも、うれしかった。仕事に慣れ、ミスが少なくなるにしたがって(今日は大ミスしちゃったけど)助けてもらうことが少なくなり、一人で仕事をしている錯覚をしていたのだ。
配達を何とか終え、会社に戻ると、開口一番、
「すいませんー、〇〇商事さん遅れてしまって。。」と謝った。すると、Iさんたちは、
「あら、いいのよ、もっと、何十分も遅れるかと心配してたけど、ほとんど遅れなしで、クレームも来なかったわよ」と言ってくださった。
なんだか、ほっとして、
「いやー、今日、ちょっと焦って2回もスリップしちゃいました」と言ったら、その場にいた事務員さんたちも、社員さんたちも、
「ちょっと、田中ちゃん、気をつけてよ、事故ったら元も子もないよ、弁当ひっくり返すくらいならなんとかなるけどさ。命は戻ってこないからねー」と言ってくださった。
わはは、そうですね、気をつけます!と笑ってみたものの、とてもそれらの言葉が嬉しかった。しみじみ、私も、仲間にそんな言葉をたくさんかけたいと思った。
先述したように、私は人と長い時間近くにいて、チームワークを大切に行動するのが苦手だ。照れるし、いろいろ考えすぎて疲れ果ててしまう。
だから、調理関係も、洗浄の仕事も、混ざって和気あいあいとは、とてもできないと思うけれど。
でも、配達という末端の仕事を、責任を持って明るく毎日こなすということが、もし、皆さんの役に立つのであれば、こんなに嬉しいことはない。少しでもチームワークに貢献していることにしてもらえたら・・と、多少図々しいけれども、思う。
これからも、パートや社員、仕事に関係なく、会社で働く人たちと仲良くやっていきたい。そして一緒にいい汗を流して、いい仕事をしていきたいと思う。
・・そう思っていると、
「田中!今戻ったのかー!」と大声がした。
振り返るとNさん。主に炊飯をしているが、頼めば何でもこなすジイさん。この方も勤続何十年かわからないほどの、ベテランである。
そう、この人もいた。この人こそ、正月も盆も休まない、会社の妖怪・・いや主。その働きたるや、脅威である。もしかしたら、逆に仕事を休んだら死んでしまうのかもしれない。
すっとぼけた、気さくでユニークなNさん。
案外、こういう名物じいさんが、裏で会社を引っ張っているのかもしれないぞ。
チームワークも、考えてみると、奥が深そうだ。
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