雨 ときどき晴れ☀

~鬱と発達障害とつきあう日々~

雨降って地固まりつつ

 

 我が社のお弁当によるノロウイルス感染者は、500人を超えたらしい。

 賠償手続きも進み、それによりクレームもだんだん下火になってきた。

 一人一律かどうか、保険のことは詳しく聞いていないが、被害一日一人5000円ほどの保障になるらしい。

 そんなわけで、例えば1人の方がお弁当を食べて発症したとして、家族4人皆に感染すればその人数分の手続きをするわけだが、人間の心理として「いただけるものはいただいておこう」と、便乗上乗せする場合がなきにしもあらず。保険会社で調査はするようだが、どこまで「そうでない」ことを証明できるのか、証拠がない限り、限界があるという、そういう世界のようだ。

 

 我が社のどこが発生源だったのかも、確定しつつあるが、調理場内の人間3人から無自覚ながらウイルスが検出されたことがはっきりしているのみで、風邪のウイルスがどこから来たか、ということと同じように、他の感染ルートも可能性は0ではなく、100%の特定はできないという。

 

 

 

rtaroyma.hatenablog.com

 

 ともかく、社長はじめ、当然末端の配達員まで、必死でお詫び行脚をし続けた。

 幼稚園や保育園にも給食を届けていた会社なので、もしかして年度末あたりに他の業者にかなり変えられてしまうかもしれない、と事務所では社長たちが話をしていた。

 

 従業員の中には、若干名迷惑を顧みず勝手に休んで来なくなったりした人もいた。

 いろいろあって辛いのはわかるけども、こういう窮地で人間性が出るものだと、改めて思った。

 

 私が事故を起こした時、静かに後始末してくださったり、自由な営業をしてちょっと行き過ぎた時も、社長は何も言わず、見ていて下さった。

 この道30年の事務員の女性のことも、私は密かに尊敬していて、この会社を辞めたいと思ったことはなく、厳しくも優しいトップの下に、アットホームな雰囲気があり、いい仲間がいて大好きな会社だった。

 

 私の担当が病院であったことは、精神的にきつかったのかもしれないが、それでも常連の先生や看護師さんの中には、あえて毎日注文してくださるようになった方もいて、まるで応援して下さっているかのように感じる。

「こういうことがあると、以前にも増して気をつけて調理すると思うのよね」と言って下さる方もいたり

 仲良しの清掃の従業員の方たちには、以前のように話しかけて下さり、励ましてもらったりしている。

 私も少し気持ちが緩み、笑顔で営業できるようになってきた。

 一生懸命に事後処理にあたる会社の方々を見るにつけ、時々何が正しいのか、わからなくなったりもするが。

 

 

 また、もう一つの副業先の新聞社でも、上司や仲間が心配してくれたりした。

 こういう時に気にかけ、励まして下さることに心が温かくなり、悪いことも、決して悪いことだけではないと感じる。

 

 前記事に書いたように、仕事をセーブするために辞めなければいけないところを、居心地の良い会社だったために、つい長く働かせてもらってしまったが、今回のノロウイルスをきっかけに、コロナから続いていた業績低迷(特に仕出しの売り上げが落ち込んだ)のため、人員は削減しなければならず、

 私のような中堅は、まだギリギリ仕事も探せるだろうし、2足のわらじを履いていて他の収入があるし、辞めても大丈夫だと思った。

 ただ、担当の病院を回れる人が今のところいないため、年度末くらいまで、営業先の数が落ち着くまで残ることになったのだが。

 

 尊敬する事務員さんと、そのことを話し、

「○○さんと、お仕事できてありがたかったです」と告げると、

「いえいえ、私なんか、言いたい放題言って・・・すみませんでしたね・・」

と、最後まで謙遜されていた。

 笑顔がすてきで、若手とも誰とも契合できて、正しくて優しい方で、何でも率先して動き、こういう人になりたいと思える人にお会いできたことを、とても幸せに思う。

 

 

 振り返れば、もともと鬱で働く自信もなかった私を採用してもらい、必死で頑張ったが、本当にいろいろなことがあったと思う。

 それまでが地獄だったので、成長を待ってくれたり、頑張った分認めてくれるこの会社は、ハードだったけども辛いことはなかった。

 苦手だと思っていた車の運転も上達し、何か一つ、自由を得た気にさえなった。

 心身野垂れ死にするところを、助けてもらい育ててもらったようなものである。

 一番は、いい仲間たちやお客様に恵まれ、救われた。

 感謝の気持ちを、これからどこに行っても忘れずに、明るい社会を作っていけたらと思う。