彼は、自分を良く見せようとしない人です。意外にこういう男の人は少ない。
よく周りを見ていて、状況を察知するのが早い。
落ち着いていて、仕事が早い。
物静かでもあり、時にはニコニコ冗談を繰り出す。彼の低く穏やかな山形弁を聞いていると、いつのまにか安心する。
「頭がいいし、仕事が出来るし、優しいし、Tさんは最強だね」と私が感心して言うと、
「いや、最低です!!」といつもおどけながら否定していました。
見ていないようで見ているし、聞いていないようでちゃんと聞いている。
困っていると、いつのまにか傍に来てくれる。
ケンカをして「ごめんなさい」と窓の外を見ながらグスングスンしていると、後で「こっちこそごめん」と謝ってくれた。
心から謝ってくれる人というのは、意外といないもので、
私は彼のおかげで、人間不信でなくなり、生きていけるように少しなった。
車を運転する横顔に見とれて、我を忘れてぼーっとしていると、
「まぁ、穴が開くもんじゃなし、いいけどよ」と静かに笑っていた。
見つめるだけに飽き足らず、
「世界で一番好き。」とやっと言うと、しばらく黙っていたが、ガクっとずっこけて、
あれは、照れていたのかな?
お金のことも、最初に触れたことも「Kさんの優しさに甘えちゃったな」と苦笑いして、
そういう正直なところも、大好きでした。
もし、彼に結婚相手や好きな人が出来たら、それは…すぐに離れようと思う。
私とでは未来がなく、普通につきあいをすることも出来ない。
彼のような人がお父さんになったら、どんなに素敵だろうな。笑って「今までありがとう」と言えるように、何度もシミュレーションを。
彼が元気で、この世に生きているだけでいい。
好きな人の幸せを願うという幸せをくれたのは、彼でした。
それだけで、私は生まれて来て本当に良かったと思います