雨 ときどき晴れ☀

~鬱と発達障害とつきあう日々~

ショートショート 2/2+ 答え合わせ

 

 彼は、自分を良く見せようとしない人です。意外にこういう男の人は少ない。

 よく周りを見ていて、状況を察知するのが早い。

 落ち着いていて、仕事が早い。

 物静かでもあり、時にはニコニコ冗談を繰り出す。彼の低く穏やかな山形弁を聞いていると、いつのまにか安心する。

 「頭がいいし、仕事が出来るし、優しいし、Tさんは最強だね」と私が感心して言うと、

 「いや、最低です!!」といつもおどけながら否定していました。

 

 見ていないようで見ているし、聞いていないようでちゃんと聞いている。

 困っていると、いつのまにか傍に来てくれる。

 

 ケンカをして「ごめんなさい」と窓の外を見ながらグスングスンしていると、後で「こっちこそごめん」と謝ってくれた。

 

 心から謝ってくれる人というのは、意外といないもので、

 私は彼のおかげで、人間不信でなくなり、生きていけるように少しなった。

 

 車を運転する横顔に見とれて、我を忘れてぼーっとしていると、

「まぁ、穴が開くもんじゃなし、いいけどよ」と静かに笑っていた。

 見つめるだけに飽き足らず、

「世界で一番好き。」とやっと言うと、しばらく黙っていたが、ガクっとずっこけて、

 あれは、照れていたのかな? 

 

 お金のことも、最初に触れたことも「Kさんの優しさに甘えちゃったな」と苦笑いして、  

 そういう正直なところも、大好きでした。

 

 

 もし、彼に結婚相手や好きな人が出来たら、それは…すぐに離れようと思う。

 私とでは未来がなく、普通につきあいをすることも出来ない。

 彼のような人がお父さんになったら、どんなに素敵だろうな。笑って「今までありがとう」と言えるように、何度もシミュレーションを。

 

 彼が元気で、この世に生きているだけでいい。

 好きな人の幸せを願うという幸せをくれたのは、彼でした。

 それだけで、私は生まれて来て本当に良かったと思います

 

 

 

 

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