雨 ときどき晴れ☀

~鬱と発達障害とつきあう日々~

一抹の安心

 

 東京に遊びに行った友達から、朝、メールが届いた。

・・おはよ。昨日はこっちの友達と飲んだ。いかがわしい店にも行ったぜ。(嘘)おにぎりを思い出す。満員電車には乗るなよ。ぼーっとしてるから痴漢に遭う。お土産買ってく。

 

 はぁ・・。返信に困る内容なので、そのままにしておいた。

 ぼーっとしてる、って私のこと?失敬な。東京で迷子になってしまえ。

 電車で痴漢になど遭ったことはない。

  しかし、田舎道で自転車に乗っていて、遭ったことは・・ある。確かにその時は、考え事をして、ぼーっとして漕いでいた。普通、自転車に乗っていて、痴漢に遭遇するなんて、あり得ないよなぁ。。

 あれは高校2年生か3年生だった。学園祭の準備を終え、遅い帰路についていた。人影のない暗い道にさしかかった時、いきなり後ろからきた自転車に近づかれ、右胸を摑まれた。触れられるまで、全然気付かなかった。瞬間的に、胸うんぬんより、レイプされるのではという恐怖が全身を襲った。ガッシャーン!! 気付くと、私も、痴漢も、自転車ごと、倒れていた。

「な、何すんだよっ!」そう言って、痴漢は急いで自転車を起こし、足早に逃げ去った。見ると学生服を着ていた。高校生・・?らしかった。

  逃げてくれて、正直、心底ほっとした。。  ん?

 何すんだよ、って・・、そりゃこっちのセリフだよ!!! 

 いたた・・足をひどく打撲して、やっと立ち上がった。それから先は頭に血がのぼって、恥ずかしいやら、腹が立つやらで、その男子高校生が恨めしかった。

 何で、ことわりもなく、いきなり触ってくるんだろう?(そりゃ痴漢だからか)

 こうも考えた。学生証を出して、名を名乗り、「血の気の多い年頃で我慢できません、どうか少しだけ触らせて下さい」と土下座でもしてくれたら、10秒くらい触らせてあげてもいいのに。そのくらいのリスクを背負って、言ってくれたら、逆に男らしく、好ましいと思うかもしれない。

 あと、お金を出してくれるとか。何か気が利いた事出来ないんだろうか、と。

 もう、完全にやさぐれ、ひねくれていた私。

 

 

 そんなことを思い出しているうちに、夕方、また友達からラインが届いた。

・・今、帰りの新幹線。寝て帰る。

・・好きな芸能人て誰?

 暇なのらしい。

ーーうーん、手越君かな、newsの。

・・へぇ、どこが?

 ふと、さっきの痴漢の話を思い出した。手越君みたいな子なら・・爽やかに土下座して頼まれたら、100%OKしてしまうだろう。 

ーー爽やかなところかな、素直そうだし、顔も好き。

・・俺は誰に似てる?

ーーうーん、ロザンの宇治原さん?かな?東大卒の。

・・京大だろ。全然好みと違うんじゃね。笑  

 ーーほめたつもりなんだけど・・。

・・お土産、渡すね、今度。

ーーあ、ありがとう。

 

 最近、返信に困ることが多い。また、会うことになるのかなと思うと、ちょっと罪悪感にさいなまれる。

 

ーーあの、私にかまってると、運命の人に出会うチャンスを逃すんじゃない?

 勇気を持って、書いてみた。

 珍しくなかなか返事が来ない。

 しばらくして、返信が来た。

 

・・余計な心配だよ。rさんに会ってたって、運命の人がいれば出会うって。別にそんな気にすることじゃないだろ。

・・どうせ友達なんだし。

ーーまぁ、そうだけど。

・・何、俺が下心でも持ってるって?

ーーそんな気がする。

・・意識しすぎでしょ。

ーーほんと?あ、そう。よかった。

・・よかった?

ーーうん。安心。

・・じゃ、また。

・・気を付けて帰るー。

ーーうん。

 

 本心かどうかはわからないが、男に二言はないだろう。一抹の安心を持って、この人と友達でいていいのかな?と思った。

 男女問わず、友情を育めたら、嬉しい。

 そんなことより、明日も仕事だー。頑張らないと。

 

 

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暖かい陽気に花もさいた