Rさんの、子供たちと会おうと思ったのは、Rさんが欲しかったからである。
結婚できなければ、それでもいい。でも、彼女の心が欲しかった。俺のことをいつも気にして欲しかった。ずっと。
Rさんから大事な子供さんたちを切り離すことは、できない。子供さんのことも、知っていたいし、できれば、彼らに感じよく思われたい、好かれたい。
2人とも、まだ思春期盛りの中学生だ。
これは・・難しいな。。
でも、Rさんから聞く2人の息子さんは、世間でいう中学生とは少しかけ離れていた。
育てにくかったという長男君は、反抗期などとっくにすぎたという。今はちょっと人見知りだが、家ではとても明るい子だという。次男くんも短かった反抗期を少し前に終え、今ではとても思いやりのある、優しい子らしい。
これは、「お母さんを奪って、家庭を壊そうとしている男」とさえ思われなければ・・。ただの、優しい、いいお兄さんとでも思ってもらえれば、いい関係になれないこともないんじゃないか・・
いや、子供は敏感だから、俺とRさんの関係を敏感に察知するかもしれないな。
Rさん、子供の前で、俺とイチャイチャしたりするのかな?
全然想像がつかない。
「どうしたの?」
ずっと黙って抱きしめている俺を、不安そうに見上げるRさん。
「いや・・」笑って、安心させようとした。でも、本当のこと言った方がいいな。
「いつか、いつでもいいんだけど、息子さんたちにも会いたいな」
「どうして?」
「君の大事な子供さんでしょ」
「・・・」
「会ってみたいな、なんか、会って何するとか、見当もつかないんだけど。今、そう思ったんだ」
「・・・」
「できれば、面白いお兄さんとか、思われて、好かれたいけどなー」
Rさんは、じっと俺を見つめていた。
「どうしたの?」
今度は俺が聞く。
「ううん。でも、なんだか、うれしい」
Rさんが、ふいに目を閉じて俺にキスした。一瞬のことだった。恥ずかしそうにうつむく彼女。あれ?俺、喜ばすようなこと言ったかな?と思いながら、歓喜に胸が熱くなってしまった。彼女からなんて・・・
これは・・もう一回だ!応えないと!!
今度は俺から何度もキスした。
彼女も俺を求めてくれるのがわかった。そりゃもう、嬉しいに決まってる!
もう一度「いい?」と確認した。目がうるっている。
あとは、やさしくだけど、でも思い切り!
Rさん・・いちいち感動してるさ。
この瞬間を忘れたくなくて、見つめ合った。
俺のこと好きなのかな?ずっとわからなかった。
でも、この責任感は、何か、感じるものがあるからだ。
浮かれてばかりじゃだめだな・・俺もっと頑張ろう!
思いもしなかった感情が湧き上がってきた。
それは、初めての感情でもあるようで、中学時代にでも戻ったような、懐かしい思いを自分に思い起こさせた。
つづく