山の上に登るにしたがって、道がなんだか怪しくなっていきました。「お、これは道?どう見ても川・・( ̄▽ ̄;)」雪解け水が綺麗な川になり、沢登りのような状態が多くなってきます。しかし、自分のバランス感覚を過信していた私は、岩の上から、少し斜め後ろに咲いていたリュウキンカを撮ろうとして、あっと思った時にはスローモーションのように川に落ちていました!肘から先、首にかけていたカメラもドボーン!!
あーっ、これで終わりだ、と思いました(涙)カッパを着て、汗ダラダラ、サウナ状態だった私は、体がきれいな水で濡れるのは気持ちよかったのですが、カメラは・・!カメラは・・!!
急いで水分を拭いたものの、18-200mmのレンズは駄目でした。本体は辛うじて動くので、持っていたマクロレンズで代用することにしました。でも、一度水に落ちてしまったものは、いつ動かなくなるかわかりません。甘かった。。反省しきりでした。
それから、危ない道が続くことや、思ったよりまだまだ頂上まで時間がかかりそうなことを踏まえて、カメラは取り上げられ(^_^;)、お花畑にたどり着いたら撮って良い、ということになりました。さあ、急いで歩かねばなりません。
道端で心癒してくれる花々、緑の芽吹き・・特に中盤、ショウジョウバカマの花が多かったのですが、一枚も撮れず。。涙をのんで歩きました。登るにつれ、時間を逆回しにしたように、春先に咲く花たちが微笑みかけます。
お昼を過ぎ、下山する人たちと、ちらほらすれ違うようになったころ、一人の男性に「上まであとどのくらいですか?」と聞くと、
「小屋までは30分、そこから頑張れるなら1時間、で上のお花畑に着きますよ」とのこと。なんでも、頂上は大荒れだったらしく、少しずつ晴れてきたことから、
「今からなら、きっと素晴らしい景色が見られますよ」と言って下さいました。
気になるのは、「そこから頑張れるなら」という言葉。どういうこと?そして次第にその意味が明らかになってくるのですが、山小屋に着くと、そこからは、一面雪の壁です。アイゼンを使うほどではありませんが、それでも滑り落ちないように、人の通った足跡をたどり、時にはロープをつたって登り、あぁ、いったいいつになったら、着くのだろう?と思うくらい、川と雪の上を歩きに歩きました。増えていく下山者の皆さんには、「がんばって!」「まだまだだけどもう引き返せないわよ!」「上は素晴らしいわよ」とずいぶん励まされたこと。その笑顔が心に残っています。
それにしても、道端に咲くシラネアオイ、イワカガミたちの美しいこと。雨上がりの水滴が光ります。
そして、そして、ついに、ハクサンイチゲ(チングルマと見分けがあまりつかなかった(^_^;))がちらほらと!顔を見せ始めました。
あぁ、もういい、ここで、ここで写真撮って帰ろう。。と思いきや、
「上の花畑まで行っておいで!ここで帰るなんて許さないよ~」という近くにいた男性の声が。そんなに素晴らしいなら・・ともう少し頑張ろうと、体に鞭打って行きました。そして、やっとたどりついて撮れたのが、こちらです。
山頂はガスがかかっていましたが、眼下は晴れていました
ハクサンイチゲと、イワカガミと、ミヤマシオガマのお花畑
撮ること2~3分。うまくは撮れませんでしたが、満足です。
午後2時。下山に3~4時間かかるとして、暗くならないうちに下山したい。少しだけ写真を撮りながら、帰路につきました。
それにしても、登りで4時間、下りで3時間半ほどだったと思うのですが、往復で5時間半くらいを見込んでいた私は、甘かったです。それほどきついコースではなかったかもしれませんが、体力がなくなり、脚が上がらなくなったり、力が入らなくなったりして、転びやすくなりました。雪の上はもちろん、急な下りや、濡れた木道の上でも転びました。「肉離れ起こしたかな?」と思いましたが、痛くても歩き続けました。幸い、脚がつっただけのようだったので良かったですが。。
ホトトギスや、カエルの鳴き声も「大丈夫か~?」と言っているように聞こえました。あんな、あわれみを含んだカエルの鳴き声を聞いたのは、初めてです笑
最初は濡れないように気をつけて沢登りした川の道も、帰りは「歩きさえすれば濡れてもいい」笑
後半は本当にふらふら、うめき声を出さないと脚が前に進まない感じでした。
駐車場がやっと見えた時は、泣きそうになってしまい、無事?の下山にほっとしました。
しかし、若い人たちより、年配の方が多かったようでしたが、なんと皆さん健脚なこと。私のようにボロボロになって歩いている人はいなかったです。皆さん余裕の笑顔で楽しんでおられました。素敵です。
でも、間違いなく思い出に残る、焼石岳でした。また、夏の雪がない時に登ったらいいかも・・と思いつつ、もう少しランクを落として自分に合った山を目指そうかな、とも思いました。
あるいは、この苦しさを忘れて、もっと上を目指すかもしれません?
今は、この山登りで協力してくれた人たち、出会った人たち、植物や自然たちに感謝の気持ちがふつふつと湧いてきています。
みんな本当にありがとう。
ただいまカメラ修理中。。
もっと、撮りたかったな。