長男は高校3年生である。
早いものだ。
自閉症スペクトラムという、終わりの見えないトンネルの中にいたはずが、今何とかこうして穏やかに暮らしている。
長男は、お金、家計のことを心配してくれる子で、工業高校に進み、来春の就職を目指す。
私は、できれば、地元の企業で、良いところがあればいいなと思っていた。
そうすれば、まだ家族のサポートが多少受けられるだろう。
でも予想に反し、遠くの県の大手企業に挑戦すると言う。
心配というより、まだ幼稚な部分が残る彼には無理じゃないか?と思った。
もし採用されたとして、がんばってしがみついたとしても、プライベートはボロボロで、自分で健康維持できないんじゃないかと思う。
家が汚部屋になるのは仕方ないにしても・・疫病にでもかかったら自分で手続き等なんとかできるのか、と思う。
県外に一旦出たら、おいそれと地元には戻って来れないんだよ、とも、いろいろ話したのだが、若さなのかな、考えを変えていない。
夏休みになったら、先生とマンツーマンで準備をはじめるという。
17年間で、もう少し教育できなかった私も悪かったのかもしれないが・・
地元に就職すると思っていたので、もうしばらく食生活だけでもサポートができると思っていた。
暑くなり、汗のせいで少し悪化してしまった背中のアトピーを見て、
「あっちに行ったら、自分で良い皮膚科の病院、見つけるんだよ」
と言うしかなかった。
今でさえこんなに甘えていて、母親に怒られながらヘラヘラ生活しているのに、いかがなものかと思う。
年頃の子供には、自由を贈る以外に何もできない。
でも、一方で、結果として「死に行かせる」のではないか、という不安がよぎる。
「君の命は君のものだから」
そこまで割り切れるだろうか。
幸いというべきか、まだ面接は岩手県なので、心配・リスクは少ないのかもしれない。
首都圏に就職したら、研修に行ったら、地元に帰って来ても、2週間は自粛して様子を見なければならないだろう。
しかし、自宅待機して、家族が感染しても困る。
「何年も会えないかもしれないよ。みんな、ふるさとに東京から帰って来るのガマンしているんだからね」
そう言い聞かせたが、はてさて実感としてわかっているのかどうか。
私たちを親たらしめてくれた長男は、来月18歳になる。
生まれてくれたことにもう一度感謝して、応援するしかない。(のか?)