僭越ながら、故・神田沙也加さんについて少しだけ書かせて頂きます。
印象に残っているのは、歌に関してテレビで『自分は、天才タイプではない。自然に出来てしまう人とは違う。だから音1つ1つを考えて出しながら、それを繋いで作っている』と言っていたことです。天才が身近に存在したゆえ、彼女は職人のように技術面で努力していたとも思われます。あのルックスで、明るくコロコロと話す辺りで勘違いしがちでしたが、真剣で真面目な性格に加え、相当に聡明で、並ならぬ苦労と努力をしてきたんだろうなぁ、と感銘を受けることがありました。
実際に歌う姿は、多くの人が感じたと思いますが、全身全霊という言葉がぴったりで、本当に心打たれるものがありました。
彼女が努力した、音の表現の正確さ、声の状態、聴きやすいバランスの良さ、何より完全を目指している姿勢が、いつも歌全体に彼女の魂と迫力を与えていたと思います。
個人的には、天才と呼ばれる歌手の方々の歌より感動し、若く綺麗な容姿の下に、多くの傷と負けん気と、健気さを感じました。
バラエティ番組にも出演されたことがありますが、上品でまったく崩れず、きちんとした性格に思いました。幼少の頃から注目され、のんびりすることなんてあったのかな?と思います。
2011年に親子で紅白に出場したのはあまりに有名ですが、親御さんが感情をあらわにしていたのに対し、あくまでいつものように、プロフェッショナルに歌い上げていたのを、かえって心の中であっぱれと感動したのを覚えています。
『母は、甘いレースや、ピンク系の色が好きなんですけれども、私はわりとクールなシルバーやブルーが好きですね』ともおっしゃってました。
クールで端正な、美しい炎は消えてしまいました。
自分の命を自由にすること、の良し悪しは、私には未だにわかりません。
苦しんでいる人には、自由が与えられてもいいかなと思ってはいます。
ただ、その時の精神状態で、判断が鈍り、後に後悔する場合は、阻止されるべきではあると思いますが。
プライベートでは、ただ好きな人に愛されたかっただけなのかもしれませんし、他に深い悩みや悲しみがあったのかもしれませんが、
世の中の人に夢と憧れを与え、愛され、記憶に残る作品を残したことの功績は大きいと思います。
ご冥福をお祈りするとともに、今世で叶わなかったであろう分、ゆっくり休んで頂きたいと思います。